「ディライトコース」~第3回~

2023年05月18日

 今でこそ、あおい学院で多くの生徒が受講する「ディライトコース」

 中学3年生では、2年生の学年末の段階で満席となるコースだ。その軌跡をお伝えしています。

 

 「ディライトコース」がスタートしたときは、対象は中学3年生のみだった。

 それでもこれまでは秋からの「受験対策講座」が一斉形式の授業のスタートだったため、新年度開始の3月から一斉講習が始まるのは新鮮だった。


 最初の受講者は7人程度。当時3年生全体の3分の1と言ったところだろうか。

「これくらいがいい」と私は思った。実際に始まってみると、演習をする時間、教科の割り振り、進度のスケジューリングなど事前に考えていたものと違うことが出てきて、毎回準備に大変だったのだ。

 そしてそのオペレーションに慣れもしないうちに、問題が起こった。

 「質問が多すぎる」のだ。

 私たちの考えでは、学校で学習した内容に合わせて問題演習を行っていくことを、一つのペースとしてスケジューリングをしていた。しかし「学校の授業で聞いたら、それなりに理解できる」というわけではないのだ。

 確かに学校で授業は進んだ。先生の話を聞いていてわからなかった話はそれほどない。しかし問題は解けない。

 最初は一人ずつ回って質問に解説をしていたが、それだけでは時間が足りないほどに説明の時間が増えていく。

 テストが近くなればなおさらだ。

 自然と一斉講習の授業のようになる時間が増えていった。

 ここでまた問題が起こる。一つの問題の解き方を教えるだけなら、どの教科でもさほど問題はない。

 しかし授業をし続ける、となると「その教科の本質や全体像」を理解して説明できるようにならなくては、授業は行えない。

 個別指導であれば、多くの場合「英語」と「数学」がメインとなるので、他の教科は授業をすることはあまりない。

 「一斉形式の授業をするとなると、理科や社会、国語もしっかりと授業の準備をして勉強をしなければならない」

 勉強の日々が始まった。

 一斉講習の先生の授業を見させてもらったり、授業のカリキュラム作りや、指導方法を午前中に教えてもらいに、知り合いを周った。

 午後からは自分の校舎に戻ってきて、授業の準備や自分の勉強だ。

 「どうせやるなら自分が一番になるつもりで」

 カリスマ講師、と呼ばれる先生の授業も無理を言って見に行かせてもらった。そして真似できることはトコトン真似をしまくった。


 気がつけば「ディライトコース」は完全に「一斉講習の授業」となり、その授業の中で演習をしっかりと行うようなカリキュラムとなった。

 最初は「演習系」の授業だからと、プリント学習用の教材会社と提携したがそれも断った。

 自分の授業に満足が行くようになった次の年、中学1年生から「ディライトコース」の募集を始めた。

 結果は4月の段階で満席となった。